
何時も隣に在ったものと同じ表情
戦場に似つかわしくないとは思ったが、自然に安堵の笑みが零れた。

笑った。
とても短い間だったけど、何時もみたいに。
二人で顔を見合わせて。

笑い顔を少しだけ引き締めて彼女が言う。
見遣った先は東軍本陣。
せめて最期に一矢報いようとここまで駆けてきたのだ。

その声に目線を上げると、何時の間にやら東方の兵がに周囲を囲まれていた。
得物の苦無を構えて敵の集団に特攻をかける何時も通りの弾んだ声。

やや薄らいだ夜に浮かぶ菖蒲に最期の願い事を投げかけて、自らも東軍本陣へと向かって走り出した。